ポスター鑑賞マニュアル(3)
「ヒロシマ・アピールズ」2006/佐藤晃一
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佐藤さんは昔から、グラデーションを使った華麗なポスターを数多く手がけておられ、僕個人では「箱」をモチーフとしたシリーズが好きで、若い頃、何枚かご本人に頂き今でも大切に保管しています。JAGDAに入りたいと思ったきっかけを作っていただいた方です。
このポスターは、第1作目の故 亀倉雄策「燃え落ちる蝶」(名作ですね)へのトリビュート的な作品だと言われておりました。亡くなっていく蝶を復活させたと言う事です。古典的な表現で描かれた蝶は淋派、俵屋宗達の嵯峨本からとられアレンジされています。確か触角の向きが変えられていると記憶しています。このポスターの特筆すべきところは、印刷技術です。上部のブルーの部分は浮世絵の空の部分を利用し、バックの金(この金も2色くらい使ってあってしかも砂目のような地紋がある)とグラデーションで溶けこましてあるのですが、この技術が凄いんですね。バックに色があると、それに重ねてグラデーションを乗せるのは容易いですが、そうするとバックの色に影響されてこのような鮮明なブルーはシルク印刷でないと出ません。ですからこれは「毛抜きあわせ」と言ってミクロの点を完全に重ねあわせていくような非常に精緻な行程で刷られます。日常やってるMacから直接DTPでは出来ない印刷でしょう、それだけでも価値があるポスターですね。この時に試行錯誤された跡が残っている何枚もの色校正を拝見して、PDが指揮する凸版印刷チームのモノづくり対する真摯な姿勢に感動したものです。用紙はミスターBで金色をふんだんに使ったこれも贅沢なポスターですね。佐藤さんのジャパニーズモダンなセンスが活きた、どこか宗教画のような美しい作品です。

8月12日(水)まで 中区袋町「まちづくり市民交流プラザ」北館4階ギャラリーにて、ヒロシマ平和ポスター展開催 ヒロシマ・アピールズ・ポスター12作品も公開中です。
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by nohjima | 2009-08-10 11:47 | Nohjima
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